研究概要 |
最初に正常モルモット、正常マウスの卵形嚢平衡斑について、炭酸脱水素酵素の局在を検討した。側頭骨から顕微鏡下に取り出した試料を4%パラホルムアルデヒド中に固定し、炭酸脱水素酵素I、II、III、IV、V、VI型に対するモノクローナル抗と反応させ、次にFITC標識した2次抗体と反応させ、共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。その結果、hair cell,supporting cell,transitional cell,dark cellのいずれにも蛍光は検出されなかった。蛍光in situハイブリダイゼーションによるmRNAの検出についても同様で、いずれの部位にも蛍光は見出されなかった。 免疫組織化学的には、本酵素は平衡斑に存在することが既に示されており、我々の実験における検出の失敗は、抗体・プロープの組織内への拡散の問題、蛍光強度の問題によるものと思われる。これを解決するためには組織を数十〜100μm程度の厚さに切ること、また、蛋白レベルでの検出にはABC法などによる信号の増幅を行なうこと、mRNAレベルではin situ PCR法を用いて信号を増幅することなどが必要であると考えられる。
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