研究概要 |
1.音刺激システム・耳音響放射(OAE)波形解析ソフトウェアの作成 パーソナルコンピューター(PC9801)を制御機器として用い、D/Aコンバータ2チャンネルを個別に制御して、両耳別々の任意刺激パターンを可能とするシステムを作成した。さらに、OAEの記録は、A/Dコンバータを介してもう1台のコンピュータに入力する形とした。記録波形は、ファイルコンバータを通してMacintosh上で処理した。さらに、OAEの時間波形を、ウェーブレット変換を応用して解析し、従来は無視されていた特徴を抽出し、相互に比較する手法を開発した(日耳鼻,1994)。この方法の特長は、反応波形の時間域ごと・周波数帯域ごとの変化の特徴を抽出できる点ににある。 2.ヒトe-OAEにおける実験 まず、e-OAEが明瞭に記録できるヒトにおいて、両耳相互作用を調べた。ヒトe-OAEにおいて、対側ホワイトノイズ負荷により、広い周波数帯域でノイズ負荷量に応じた振幅低下・位相前進が認められること、および時間域ごとに変化の様相が異なることを明らかにした(Audiology Japan.1994)。これは、両耳相互作用が内耳由来であるという説の裏付けとなり得ると考えられた。また、耳小骨筋反射が全く見られない症例における同様の変化を明らかにし、中耳に由来するアーチファクトを否定した。 3.モルモットDP-OAEにおける実験 人工呼吸下のモルモットのe-OAEは、S/N比の低い記録しか得られず、ヒトe-OAEと同様な微細な変化を見るに適当でなかったため、專ら記録しやすくS/N比も高いDP-OAEにて実験を行った。対側音負荷により低周波数を中心として、DP-OAEレベルが低下する(抑制される)結果が得られた。
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