研究課題/領域番号 |
06771423
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
分藤 準一 大分医科大学, 医学部, 助手 (60253796)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 中耳粘膜 / 抗原特異的IgA産生細胞 / 粘膜免疫 / 接着分子 |
研究概要 |
非特異的な炎症を惹起させた中耳粘膜へのリンパ球結合数を、他のコントロールとして用いた気道・消化管粘膜のものと比較検討した。炎症時の中耳粘膜では、腸管感作動物のパイエル板リンパ球の結合数は、全身感作動物に比べ、有意に高値であった。鼻粘膜では、腸管感作動物のパイエル板リンパ球の結合数は、全身感作動物のものと有意差は認められなかったが、脾臓リンパ球に比べれば有意に高値であった。しかし、上咽頭粘膜や気管粘膜では有意差は認められなかった。小腸粘膜では中耳粘膜と同様の有意差が認められた。唾液腺では、腸管感作動物のパイエル板リンパ球の結合は、脾臓リンパ球に比べ有意に高値であった。以上より、粘膜免疫を賦活した動物より得られたパイエル板リンパ球は、炎症時の中耳粘膜においても、他の気道・消化管粘膜と同様に結合し易いことが示された。 また、抗原特異刺激あるいは非特異刺激により炎症を惹起させた中耳粘膜と、各種に分画したパイエル板および脾臓リンパ球との結合を、全分画のリンパ球結合数に対する結合抑制率で比較検討した。抗原特異的な刺激をした中耳粘膜と、腸管感作動物のパイエル板より得られたIgA depletリンパ球との結合は抑制されており、全身感作群より得られた抑制率より有意に抑制されていた。一方、抗原非特異刺激を行った中耳粘膜への結合抑制率はそれぞれ感作方法に拘らず結合の抑制が認められたが、抑制率に有意差は認められなかった。 本研究において、炎症時の中耳粘膜では、パイエル板リンパ球の方が脾臓リンパ球に比べ、より多数結合することが示された。また、粘膜免疫を賦活した動物のパイエル板リンパ球のうちIgA産生細胞が、中耳粘膜へ結合し易いことが明らかにされた。このIgA産生細胞は、抗原特異的な刺激による中耳炎粘膜においてより結合し易いことも示された。このことより、粘膜免疫の賦活により中耳の炎症粘膜へ抗原特異的IgA産生細胞の誘導・定着が示唆された。
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