研究概要 |
扁桃病巣感染の二次疾患の1つである掌蹠膿疱症の皮膚における各病変部位での細胞接着分子の発現について以下の結果を得た。 1.肉眼的正常部 正常者の皮膚と同様にリンパ球等の浸潤細胞はほとんど認めず、CD44が表皮において陽性であった。しかし、正常者の皮膚とは異なり、ICAM-1が真皮および真皮乳頭内を走行する血管に沿って陽性であった。 2.紅斑部 浸潤する細胞はCD3陽性で、CD4陽性細胞が多数を占めていた。またこれらはLFA-1強陽性であり、さらに これらLFA-1陽性細胞の浸潤部位にほぼ一致して、ICAM-1が血管内皮、表皮、ケラチノサイト、リンパ球などに陽性を示していた。また、真皮内血管にはELAM-1の発現が強く認められた。 3.膿疱部 浸潤細胞はCD3,CD4,LFA-1陽性であり、ICAM-1は真皮内血管および表皮ケラチノサイト、浸潤細胞に陽性であり、真皮内血管にはELAM-1の発現が認められた。 以上の結果より、掌蹠膿疱症の発症や進行において、T細胞を主体とした細胞性免疫が関与しており、初期のT細胞浸潤の際に、LFA-1・ICAM-1相互作用が関わっていることが考えれられた。また、肉眼的正常部において真皮内血管にICAM-1の発現がみられたことは、この細胞接着分子が潜在化する炎症によって増強され、浸潤T細胞との反応準備状態にあるものと考えられた。
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