プラチナ系薬剤に対する耐性獲得は、頭頚部腫瘍の治療においては、重大な問題となっている。これらプラチナ系薬剤に対する耐性の機構と機序とを解明することが、重要と考えた。今回我々はヌードマウスに株化口腔腫瘍(KB)を用いて移植固形腫瘍を作製しプラチナ系薬剤(254-S)をさまざまな投与方法で腹腔内に投与し腫瘍増殖抑制効果の有無を観察した。 実験には各群5匹のヌードマウスを用い 254-Sの投与方法によって下記の4群とした。 1)コントロール群[254-S(-)] 2)1回全量投与群[15mg/kg×1] 3)3回分割投与群[5mg/kg×3] 4)5回分割投与群[3mg/kg×5] 各群における初回投与を0週とし、12週間にわたり腫瘍重量を計測し比較した。9週目に再度254-Sを今回は2)3)4)の各群に同量の254-S(15mg/kg)を投与した。 初回の254-S投与時には薬剤の投与を受けた3群間に明らかな腫瘍増殖抑制効果の差は認めなかった。しかし9週目の2回目の薬剤投与時には、4)の群においては薬剤の投与後も腫瘍増殖抑制はなく直後より腫瘍は増殖を示し、その他の3群に比して明らかな腫瘍増殖抑制効果を認めた。腫瘍細胞内Pt濃度、フローサイトメトリーを用いたPCNA測定、腫瘍細胞の形態学的観察結果などもこのことを指示していた。これらの事より低濃度の薬剤の頻回反復投与により生態内において実験的な耐性モデルを作製できたと考える。この実験的薬剤耐性モデルを用いて薬剤耐性の解明と克服をしたいと考える。
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