研究概要 |
白内障発生の要因としては、紫外線、活性酸素、過酸化脂質、赤外線などの他、ステロイド、トランキライザー服用、喫煙、などの様々な化学物質への暴露なども重要な誘発因子であるとされている。本研究ではchrolpromadin,TNT、鉛、alcohol,epoxide,などの白内障を誘発するのではないかとされている物質を代謝し解毒する酵素として、GST、δ-amino labrinate dehydratase(ALAD)、aldehyde dehydrogenase(ALDH)、チトクロームP450(CYP1A1)などをあげ、それら異物代謝系酵素の遺伝的多型性と白内障発生との相関性を調べ、疾病発症に関与する遺伝的要因を調べた。 試料としては、発生原因不明の白内障患者(138名)及び、同地域、同年齢域の白内障非発生者(62名)合計200名を対象とした。対象者の血液よりDNAを抽出し上記の異物代謝系酵素の遺伝的多型性と白内障発生との相関の解析をPCR法、PCR-RFLP法,Aso-primer-PCR法を用いて行った。 GST1に関して昨年度と異なるexon部分を増幅したが、昨年度と同様な結果つまり、白内障患者には有意にGST1遺伝子の欠損者が多いことが判明した(p<0.001)。 ALDH2に関しては、白内障患者にはwild typeの表現型の比率が多い傾向にあったが、有意差は無かった(p=0.19)。このことは飲酒が白内障発生を助長している可能性があることを示唆しており、今後も追加研究の必要性があると思われる。 ALADとCYP1A1に関しては、その遺伝的多型性と白内障発生について相関性は認められ無かった。(ALAD;P=0.34,CYP1A1;P=0.98) この研究成果はExperimental Eye Research誌に受理され現在、印刷中である。
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