研究概要 |
当教室での研究で種々の開放隅角緑内障では、線維柱組織の細胞外基質中に正常組織とは異なるエラスチンタンパク質の増加があることを免疫組織化学的手法により明らかにした。このためエラスチン遺伝子と緑内障眼線維柱組織とのを明らかにすることを本年の研究目標としエラスチン遺伝子の解析を行った。まず正常ヒト線維柱組織のcDNAを作製しλgt11発現ベクターに組み込みライブラリーの作製をおこなった。このライブラリーを使ったβ-ガラクトシダーゼ融合タンパク質の発現実験により,抗ヒトエラスチン抗体と反応するクローンの存在を明らかにした。 また,エラスチン特異的プライマーによる線維柱組織とコントロールとしての皮膚組織でのRT-PCRの実験結果では、線維柱組織と皮膚組織ともDNAが増幅できた。ハイブリダイゼイション実験により,線維柱組織にはエラスチン遺伝子が発現していることが明らかになった。このPCR産物の3%アガロース電気泳動により両者に3-4本のメジャーバンドが認められたが、エラスチン遺伝子は選択的スプライシングの違いにより多様なエラスチンタンパク質を産生することが知られており、線維柱組織、皮膚組織では選択的スプライシングの違いにより異なったエラスチンタンパク質が産生されていることが予測された。さらに、緑内障眼線維柱組織のRT-PCRにより、正常眼とは異なったバンドが得られた。現在はどのエクソンのプライシングによるものかを検討中である。
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