研究概要 |
(1)GAD(Glutamate Decarboxylase)、GABA_A receptor α1 subunitの遺伝子をプローブにして、ラット網膜切片についてin situ hybridizationを行い、鮮明で空間分解能の高い染色像を得ることに成功した。その結果、これらの遺伝子が網膜神経節細胞において転写されていることが明らかになった(Kosaka,et al,Mol.Brain Res.1994.)。この成果により、網膜神経節細胞における遺伝子発現の解析が可能となった。 (2)神経節細胞の機能分化や末梢神経移植による軸索再生が、神経栄養因子とその受容体遺伝子の発現によって制御されている可能性が高いので、神経栄養因子の受容体であるTrk familyの遺伝子をPCRで単離することを試みた。すでに、trk A、trk B、truncated trk B、trk C遺伝子のDNA断片の単離に成功し、ラット網膜切片についてin situ hybridizationを行った。その結果、trk A、truncated trk Bが網膜神経節細胞で発現していること明らかになった(Suzuki,Kosaka,et al.投稿準備中)。 (3)網膜神経節細胞をフラットマウント標本上で染色できる分子マーカーを得るために、モノクローナル抗体の作成を試みた。単離に成功した抗体のうち、C38抗体は、フラットマウント上でも神経節細胞を特異的に標識し、神経節細胞の同定に有用であることが明らかになった(Wakabayashi,Fukuda,and Kosaka,submitted to Vision Research)。現在この抗体が認識する抗原分子のcDNAの単離を目指して、cDNAライブラリーのスクリーニングを行っている。
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