鹿児島県においてぶどう膜炎がどのくらい発症しているのか、またその中でHTLV-Iassociate uveitisと考えられる症例がどのくらいいるかを推定するために、鹿児島県内の常勤の眼科医のいるすべての診療施設を対象として、ぶどう膜炎の実態調査を行った。1994年5月〜6月の2か月間、総外来患者数とぶどう膜炎患者数、およびぶどう膜炎の内訳を調べた。また、同意を得た上でぶどう膜炎患者の血液を採集し、血清の抗HTLV-I抗体をゼラチン粒子凝集法とEnzyme linked immumosolbent assey法で測定した。 調査を依頼した65施設のうち31施設から調査票が回収され、回収率は47.7%であった。31施設のぶどう膜炎患者数は1か月平均351人で、そのうち新患は57.5人であった。総外来新患に占めるぶどう膜炎新患の割合は0.39%で、地域による差はなかった。ぶどう膜炎の内訳は、トキソプラズマ症7.8%、原田病5.0%、ベーチェット病4.1%、サルコイドーシス3.4%、その他8.4%で、残り71.3%は原因不明であった。血清の抗HTLV-I抗体の陽性率は、原因不明のぶどう膜炎では38/125(30.4%)で、既知のぶどう膜炎の11/63(17.5%)に比べて高かったが、有意差はなかった。 これらの結果から、鹿児島県におけるぶどう膜炎の有病率は人口10万対40.4、罹患率は人口の10万対6.2と推定された。また、HTLV-I associated uveitisと考えられるぶどう膜炎の有病率は人口10万対8.8と推定された。
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