アロプリノールの代謝産物であるオキシプリノールには、キサンチンオキシダーゼ阻害作用とともにハイドロキシラジカルやヒポクロライドなどのフリーラジカルに対してスカベンジング作用を有することが知られているぶどう膜網膜炎の動物モデルを用いて、オキシプリノールの抑制効果・機序について検討した. 方法として、牛網膜より精製されたIRBPをアジュバントとともにルイスラットに接種し、実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)を惹起せしめた.その後オキシプリノール投与群(T群)と対照群(C群)におけるEAUの、1)発症率、2)臨床所見、3)組織学的所見、4)血液・生化学検査成績、5)IRBPに対する細胞性免疫、抗体産生について検索した.また、オキシプリノール投与後、腹腔より採取した好中球の、1)活性酸素産生、2)走化性、について測定を行った. その結果、IRBP接種後11日目のEAUの発症率は、C群の100%に対しT群では73%にとどまった.T群では臨床的に前房中の滲出性変化や後房蓄膿の程度が、また組織学的に明らかに眼内の細胞浸潤や網膜血管炎が軽減していた.T群では末梢血多形核白血球数が少なく、血清尿酸値が低下していた.IRBPに対するDTH抗体産生には両群の間に有意差はなかった.腹腔より得られた多形核白血球の活性酸素産生はT群で低下していたが、走化性には有意な差は認められなかった. EAUはその発症過程において、初期には多形核白血球の眼内への浸潤が、中期からは閉塞性網膜血管炎が病像の主体をなす.オキシプリノールは多形核白血球由来のラジカルによる炎症の増長、組織障害や、網膜の虚血-再灌流に伴う組織障害などに対して抑制的に作用すると考えられる.
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