研究概要 |
本実験はオムコ社製有隔膜電解酸化水製造装置を使用し水道水をpHを操作することにより効率良く発生した次亜塩素酸水を用いてウイルスに対する効果を検討した。供試ウイルスはアデノウイルス8株,SEMLIKI FOREST VIRAS(SFV),ヘルペスウイルス(HSV)1HS株,ヘルペスウイルス(HSV)2HP株,インフルエンザウイルスA/PR8,アデノウイルス3株,(エイズウイルス)HIVIIIbについて検討した。培養方法は常法に従いHE_P-2細胞,MDCK細胞,HEL細胞,には5%FCS-E-MEMを、Vero細胞には5%FCS-E-MEMを、H9細胞には15%FCS-RPMI 1640を使用した。ウイルス液は通常の方法に従い細胞変性効果(CPE)によりウイルス力価を測定した。TCID50/mlは、アデノウイルス8株10^2,インフルエンザA/PR8株10^6,アデノウイルス3株10^6,HSV 1 HS株10^6,HSV 2 KP株10^4であった。尚HIVはELISA法によりp24の酵素量とCPEにより判定した。本装置より生成される水はソフト酸化水とハード酸化水である。対照として水道水で20ppm,50ppmに希釈した次亜塩素酸水と水道水,5%FCS-E-MEMを用いた。ウイルス液を消毒液に1:9の割合で各時間(5秒、30秒、1分、5分、10分)接種し、各培養細胞をシートしておいたプレートに3検体ずつ植え、CPEを観察した。結果はアデノウイルス8株,SFVは15秒で、インフルエンザA/PR8株は5秒で、HSV 1 HS株は1分で、HSV 2 KP株は5分で、アデノウイルス3株は10分でCPEが観察されなかった。いずれもコントロールよりウイルスの不活性化が認められた。HIVへの効果は5秒でも不活性化が認められた。本装置は蛇口直結型で保存せずに大量に得られ、低塩素濃度のため人体への安全性が高く院内感染予防に役立てられる可能性があると思われた。
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