研究概要 |
1.カラードマイクロソフェアを用いた心筋血流の測定 まず健常な子犬3頭(体重3kg前後)において,非放射性カラードマイクロソフェアを用いて心筋血流を測定した.全身麻酔下に左心房よりカラードマイクロソフェアを注入し,同時に大腿動脈より基準血液を採取した.心筋及び基準血液よりマイクロソフェアを回収し,心筋血流を算出した.以上の方法により得られた心筋血流は0.7-1.2ml/min・gと従来の放射性マイクロソフェアを用いた結果と同程度であり,本法の信頼性が確認された. 2.ECMO施行中の心筋血流の測定 体重3kgの子犬に対して定常流および拍動流ECMOを施行して,上記と同様基準血液を採取する方法で心筋血流を測定した.結果は定常流で13.7ml/min・g,拍動流で16.2ml/min・gと拍動流で増加した.しかしこの値は健常な子犬で測定した値の10倍を超える値であった.その原因として,大動脈起死部でのマイクロソフェアの濃度が均一でないことが推測された.そこで心拍出量およびECMO流量を超音波血流計によりモニターし,心筋に取り込まれたマイクロソフェアの総数より心筋血流を測定した.この方法では定常流で0.062ml/min・g,拍動流で0.157ml/min・gと拍動流で増加した.しかし健常な子犬で計測した値の10分の1程度であった. 3.まとめ この様に異なった2方法の結果では,いずれも定常流ECMOに比べ拍動流ECMOで心筋血流が増加し,さらにECMO由来の心筋血流も拍動流ECMOで増加していた.しかしこの2方法で測定された心筋血流が著しく異なっていたため,今後さらにECMO施行中の心筋血流の測定方法の検討が必要と考えられた.
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