骨改造現象の重要な担い手である骨細胞や破骨細胞の運命を細胞死やアポトーシスの観点から組織学的に検索するために今回の研究では近年細胞死の形態学的検出法として開発された寸断化されたDNAの3′未満をterminal deoxynucleotidyl transferaseによってラベルし検出する方法を用いた。 ラットの脛骨や歯槽骨を用いてこのDNAの寸断化を検出したところ骨髄の一部の細胞の核は反応産物で染色されたが、骨量中の骨細胞や骨芽細胞では検出されなかった。また骨端板軟骨では軟骨組織が骨組織に置き換わるとともに軟骨細胞も肥大化しその運命についても議論されているところではあるが、今回の実験ではここでもDNAの寸断化は検出されなかった。DNaseを用いた対照実験では骨細胞や破骨細胞などの多くの細胞の核が染色されDNaseにより寸断化されたDNAの3′末端をterminal deoxynucleotidyl transferaseが認識し、ラベルされたものと思われる。 通常では破骨細胞の死が観察されることはまれであるために破骨細胞の数が急激に減少するモデルとして、ラット下顎切歯の形成端を破壊した歯槽骨を観察した。このモデルの歯槽骨では破骨細胞の数が急減にするために死が観察される可能性が高いと考えられる。この部位の破骨細胞は細胞質の一部がが伸長したり、断片化したりして、形態学的には一般に言うアポトーシスに類似した所見も示すが、DNAの寸断化を検出したところ消失する破骨細胞の核はラベルされなかった。
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