研究概要 |
申請者は平成6年度科学研究費補助金を受け、齧歯類(ラット)正常歯髄および歯牙切削後の歯髄における抗原提示細胞の動態を免疫組織化学的に検索し、歯髄の免疫防御機構に関して以下の事を明らかにした。 1.常生歯正常歯髄における免疫担当細胞、特にクラスII MHC抗原陽性細胞の組織内分布並びにその微細構造学的特徴を検索して(Arch.Hitol.Cytol.,1994)、抗原提示細胞である大食細胞と樹状細胞の微細構造学的特徴を示して、同歯牙における象牙質形成における象牙芽細部と歯髄毛細血管の相互関係を検索した論文(Cell.Tissue Res.1992)の結果と比較して、象牙芽細胞層内抗原提示細胞が有窓性毛細血管と密接な位置的関係をもつことを示した。活発な象牙質形成における血管経由の栄養物質とミネラルの輸送と共に侵入する可能性のある外来抗原物質の歯髄内侵入に対する防衛前線としてこれらの抗原提示細胞が重要な役割を担っていることを明らかにした。 2.歯牙切削後の歯髄における抗原提示細胞の動態を検索し(Connect.Tissue Res.,1995)、歯牙切削後初期に象牙細管の中に突起を伸ばす抗原提示細胞について報告した。この研究では申請者の学位論文で報告した象牙細管の中に突起を伸ばす不規則な形態をした正体不明の細胞の本態を明らかにすることができた(Connect.Tissue Res.,1995)。これらの結果より、歯髄抗原提示細胞が露出した象牙細管経由の外来刺激に対する歯髄防衛の最前線におけるセンサー細胞として機能していることが明らかにとなった。 今後は、大食細胞と樹状細胞の異同についても免疫組織化学・酵素組織化学的手法を用い検索し、歯髄における抗原提示細胞の形態・機能を明らかにしていきたい。。
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