研究課題/領域番号 |
06771605
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
竹下 玲 明海大学, 歯学部, 助手 (70236454)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 単球走化性因子(MCP-1) / 歯周疾患 / 遺伝子発現 / LPS / 骨芽細胞 / 歯肉線維芽細胞 / Porphyromonas gingivalis |
研究概要 |
[目的]成人性歯周炎の歯肉組織に多数の単球/マクロファージの浸潤が認めらること、又これら細胞由来のサイトカインに骨吸収活性があることが示されている。従い、歯槽骨吸収時に歯周組織局所のマクロファージlineageの集積に、単球走化性因子の役割は、重要であると考えられる。そこで、単球特異的走化性因子JE/MCP-1の遺伝子発現について、骨芽細胞を用いて検討したところ、TNF、IL-1、TGFに誘導作用が認められた。これらの知見は、MCP-1/JEの発現が、歯周疾患と関連することを推察させるものであった。実際に、私どもは、歯周病患者の患部組織と歯肉溝浸出液中のMCP-1/JE遺伝子産物の存在について検討し、歯周疾患の病態の進行度と相関性があることを報告している。そこで、私は、本年度文部省科学研究助成金で、歯周病病原性細菌Porphyromonas gingivalisのLPSと線毛を用い、歯肉線維芽細胞における単球走化性因子JE/MCP-1の遺伝子発現機構について検討した。 [方法]1)細胞:歯肉線維芽細胞は、歯肉組織よりout growthした細胞を継代培養することにより得た線維芽細胞を用いた。2)total RNAの回収:超遠心法によりtotal RNAを抽出し回収した。3)Northen blot analysis:回収したRNAを電気泳動後ナイロンメンブランに転写し、32PラベルしたJE/MCP-1遺伝子とハイブリダイゼーションを行ないmRNAレベルを検討した。4)単球走化性活性:各サンプル処理細胞の培養上清について、ヒト末梢血単核細胞を用い検討した。 [結果]1)P.gingivalis線毛並びにLPSの作用により、歯肉線維芽細胞は、MCP-1/JE遺伝子を発現した。また、処理細胞の培養上清中には、強い単球走化性活性が認められ、この遺伝子産物の存在は、免疫沈降により確認された。2)本菌LPSによる、JE/MCP-1遺伝子発現の誘導作用は、転写因子AP-1の特異的阻害剤であるcurcumin前処理により著明に抑制された。また、この遺伝子発現は、NFκ-Bの特異的阻害剤であるPDTCでも、抑制作用が認められた。3)また、本菌LPSによる、JE/MCP-1遺伝子発現の誘導作用は、tyrosine kinaseの阻害剤であるgenisteinにより抑制作用が認められた。また、A kinaseの特異的阻害剤であるH-89で、弱い阻害作用が認められた。 [考察]本研究の結果から、P.gingivalis線毛並びにLPSは、歯肉線維芽細胞のMCP-1/JE遺伝子を著明に誘導し、さらにその発現には、転写因子AP-1とNFκ-Bの関与が示唆された。
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