研究概要 |
本研究の目的は、骨粗鬆症での下顎骨に見られる形態的変化を詳細に調べることにより下顎骨での骨粗鬆症の病態メカニズムを解析し、顎骨再建法の開発のための基礎的な知見を得ることである。今回は骨粗鬆症のモデル動物として卵巣摘出ラットを用いて以下の実験を行った。 1)材料と方法:正常ラット及び卵巣摘出ラットの下顎骨と大腿骨を材料とした。10%中性ホルマリンにて固定後、これらの試料を二重エネルギーX線にて分析を行い骨塩量を測定した。一方、樹脂に包埋後切片を作成し、ALP,TRAP,vonkossa染色を施し二次元画像解析装置による骨形態計測を行った。 2)結果:卵巣摘出後4週から大腿骨の骨塩量は正常群に比べて有意差をもって減少し、その変化は海面骨を中心に見られた。また骨吸収を示す各パラメーターは増加した。しかしながら下顎骨では卵巣摘出後4週を経ても皮質骨、海面骨ともに骨量の著しい減少は見られず、正常ラットの下顎骨と比較しても形態的には変化が見られなかった。 3)考察:骨組織の発育や骨量の変化に機械的な刺激は大変重要であることは多くの研究者によって示されている。今回の実験結果も下顎骨が他の長管骨と比べて、歯牙組織を有する特徴ある構造を示し、咀嚼とういう独特な運動を行うことが下顎骨の骨量維持に重要な役割を果たしていることが示唆された。これは今後顎骨の再建法を確立する上で重要な基礎的な知見となるものと考える。現在、歯牙を抜去した状態で卵巣を摘出し、顎骨の骨量変化を検討中である。
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