研究概要 |
神経成長因子受容体は、その細胞内部分にチロシンキナーゼ活性を持っており神経成長因子と結合することによってチロシンキナーゼ活性が上昇する。このことから、神経成長因子の作用機構において、蛋白質のチロシン残基の燐酸化が重要な役割をはたしていると考えられる。そこで、神経成長因子によってチロシン残基の燐酸化が変化する蛋白質の検索を行った。 1 神経成長因子を作用させたPC12細胞の蛋白質を用いて、ウエスタンブロッティング法により燐酸化チロシン残基の検索を行った。その結果、分子量約150,000と40,000-50,000の蛋白質の燐酸化が増加した。それらはそれぞれ、神経成長因子受容体、MAPキナーゼである可能性が考えられる。 2 上皮成長因子を作用させた場合にも、同様に上皮成長因子受容体、MAPキナーゼと思われる蛋白質の燐酸化が増加した。 3 1、2において、これらの蛋白質以外にもわずかではあるが燐酸化の変化する蛋白質が見られた。 以上のことから、これからは検出の感度を上げ上記2種類以外の蛋白質の燐酸化の変化を確実に捕えるようにし、その特性を明らかにしていきたいと考えている。
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