研究概要 |
唾液採取と分析が困難とされた小動物の一つで、自己免疫疾患モデルのNZBマウスについて、4週齢より3週間毎、45週齢まで唾液採取を行い、二次元ゲル電気泳動法による分析を行なった。さらに免疫反応の指標としてEIAによる唾液中のβ_2マイクログロブリン(β_2MG)の定量を行なった。唾液採取は、加齢と共に唾液分泌量の低下を示したのにもかかわらず、問題なく耳下腺および、顎・舌下腺唾液ともに、マイクロキャピラリー(1μl)にて採取できることを確認した。唾液μlあたりの総タンパク質量は加齢と共に、耳下腺唾液では増大傾向を、顎・舌下腺唾液では減少傾向を示したが、4週齢と45週齢において、統計的有意差は認められなかった。二次元パターンでは加齢に伴い耳下腺唾液ではスポットインテンシティの増大、顎・舌下腺唾液では大幅なスポットインテンシティの減少、および消失を認めた。この結果は、一昨年報告したSjogren syndrome(SS)患者唾液の二次元展開像^<1)>と極めてよく似た傾向を示した。しかし、マウスに対する抗体で入手可能なものは少ないことから、ゲル上でわずかにアルブミン・IgGのみがWestern blotにて検出できた。唾液中のβ_2MGの定量を行なった結果、4週齢に比べ45週齢の唾液で初めてβ_2MGの高度な上昇が統計的有意差をもって示すこと、この結果と昨年報告したSS患者唾液中のβ_2MGの動態^<2)>は、極めて類似することを確認した。以上のことからNZBマウスの唾液タンパク質の質的・量的変化およびβ_2MGの動態とSS患者唾液における変化とが、かなり相関する変化であることを初めて確認した。本研究の一部はArchs oral Biol(1995)Mogi et al.,in pressに報告した。 Reference 1)Mogi et al.,(1993)Archs oral Biol.38,1135-1139. 2)Mogi et al.,(1994)Archs oral Biol.39,913-915.
|