研究概要 |
口腔癌患者に対するLAK養子免疫療法の治療効果を増強させるため、細胞障害活性の高い細胞をより選択的に腫瘍組織に集積させる試みがなされている。その一つの方法として、口腔扁平上皮癌細胞を化学療法剤で処理すると、LAK細胞感受性が増強するこが確認されている。そこで今回は、それらの化学療法剤がLAK細胞が腫瘍に集積するための重要な因子である細胞走化性に及ぼす影響について検討した。 <方法>健常人末梢血および口腔悪性腫瘍組織より非重勾配遠心法により単核球を分離し、固相化抗CD3抗体およびIL-2存在下で培養しCD3・LAKを誘導した。ヒトロ腔扁平上皮癌由来樹立細胞株(NA)を5-FU(20μg/ml),CDDP(2.5μg/ml),MTX(2.0μg/ml)およびIFN-γ(1000U/ml)でそれぞれ24時間処理し、その培養上清を細胞走化性因子として用い、LAK細胞の走化性を測定した。走化性試験は96穴ケモタキシスチャンバー(Neuro Probe,Model AB96)を使用し、フィルター:8μmポアサイズ、培養時間90分の条件で行い、Diff-Quikで染色固定後マイクロプレートリーダー(波長:540nm)で吸光度を測定した。 <結果>化学療法剤(MTX,CDDP)およびIFN-γで処理したヒト口腔扁平上皮癌由来樹立細胞株(NA)の培養上清において、LAK細胞の走化性が増強する傾向が認められた。今回の検討ではLAK細胞とTIL(腫瘍組織浸潤リンパ球)の走化性に有意な差はみられなかった。
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