本研究の目的は、画像処理(画像変換による画像改良、画像特徴計測)開発支援システムを用いて、画像計測を支援するシステムを開発し、これを用いて顎関節形態の分析支援システムを構築することである。これにより画像データベースシステムの付加価値機能の高度化をはかることができる。1.顎関節画像計測支援システムの開発 顎関節側面断層規格写真を材料とし、画像処理開発支援システムを用いて、断層像の重ね合わせ方法を自動化する方法について検討した。1)Morphological Close/Open Filterによる断層重ね合わせのためのマーカー位置自動検出法、2)パターンマッチングによる内外側各5層の撮影間の被写体移動回転の半自動補正法により、精度良く自動的に10層の断層像を重ね合わせることができた。2.顎関節形態の分析支援システムの構築 顎関節形態の分析の方法論を検討する第一歩として、下顎頭の側面形態の分析法を検討し、その分析支援システムの構築法を検討した。その結果、下顎骨の下顎枝の長さ、下後頭の高さ・幅、頭頂点の前後的位置ならびに下顎頭の上下高をパラメーターに計測し定量的分析を行う方法を考案した。さらにこのデータをもとに、顎関節症による顎関節形態の変化について検索したところ、下顎頭成長発育期、下顎頭成長完了期および退行期の各年代において、下顎頭の側面像を6型に分類することができた。したがって、本法による画像計測結果をデータベースへ組み込み、購入したパーソナルコンピュータおよびソフトウェアにて、下顎頭の形態変化の定量的分析を行えるソフトウェアを作成した。また、医学部放射線科で検査を行ったMRI画像を既に開発した画像転送用ソフトウェアを用い入力し、画像データベースに保存した。 今後は登録症例数を増やし、診断支援システムの充実を計る。
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