歯周疾患関連菌のリボゾーム蛋白質を研究するにあたり、最初にリボゾーム蛋白質をコードしている遺伝子およびその遺伝子から推測されるアミノ酸配列について検討をおこなった。そのために、Porphyromonas gingivalisについてはそのゲノムDNAを4塩基対認識酵素で部分分解後、λファージを用いて遺伝子ライブラリーを作成した。Actinobacillus actinomycetemcomitansについては6塩基対認識酵素で完全分解ゲノムサザン法をおこなった。両者に対するプローブとして、既知のBacillus属あるいはMycobacterium属のリボゾーム蛋白質遺伝子を用いクローニングをおこなった。細菌のリボゾーム蛋白質遺伝子は一般にほとんどのものがオペロン構造をとっているが、これまでに得られた結果では各オペロン内での構造は、これまでに知られている他の菌のリボゾーム蛋白質遺伝子のオペロン構造と顕著に異なる点は見い出せなかった。 個々のリボゾーム蛋白質の一次構造は大腸菌のものに高い相同性を示し、両菌に特徴的な配列は今までには見い出さなかった。 ところが、A.actinomycetemcomitansについてはオペロン間に挿入配列様構造が新しく見い出された。この配列の挿入によりリボゾーム蛋白質遺伝子全体の発現調節に影響を与えていることが考えられる。この挿入配列様構造はA.actinomycetemcomitansでは今までに報告されていないものである。また菌株によりその存在の有無が異なるため、疫学への応用が期待される。
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