近交系マウス(Balb/c)の頬・口腔粘膜下及び背部皮内にLeishmania amazonensis(La)またはL.gyanensis(Lg)のプロマスチゴ-ト(Pm)・2x10^8を接種し、接種局所に生じた病巣の経時的変化について肉眼的および病理学的に観察を行った。接種直後の局所の腫脹(Pm懸濁液の接種局所での貯留)は、1時間以内にほぼ消失し、La接種マウスにおいては接種10日前後から腫瘤の形成が認めるようになり、またLg接種マウスではLa接種マウスより3-4日遅れ腫瘤の形成が確認できた。腫瘤は観察期間中、時間の経過とともに増大し、腫瘤登頂部の皮毛の消失が認められ、La感染マウスの中で皮膚潰瘍を形成するものもいた。血中の抗リーシュマニア抗体価は、接種1週間程から上昇し、時間経過とともに抗体価の上昇が認められ観察期間中漸次上昇し続けた。血中IgE量および血中ならびに唾液中の抗リーシュマニアIgAの増加は今回の実験期間中では明らかでなかった。接種局所の病理組織標本の観察では、単核細胞の高度浸潤を認め、結合組織、筋組織がこれら浸潤細胞で置換されたような肉芽腫様病巣を呈していた。また単核球系の貧食細胞に取り込まれた複数のリーシュマニアや組織間に散在する多数のリーシュマニア(アマスチゴ-ト)が認められるとともに、それら細胞周囲に好酸球ならびに肥満細胞の集積が認められた。病巣局所におけるIgEの分布状態は、対照固体と比較において明らかな違いは認められなかった。
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