研究概要 |
本研究は,進行した成人性歯周炎における歯齦縁下プラーク中のP.gingivalis,T.denticolaの分布状態を検討する目的で行った。 研究対象は,歯周ポケット6mm以上を有する成人性歯周炎罹患抜去歯とした。歯齦縁相当部位より根端側方向に0-2mm,2-4mm,4-6mm,6mm以上の4部位に分けて,免疫組織化学的に,また画像解析を用いて検索した。 1.0-2mmの根面の歯齦縁下プラークでは,グラム陽性あるいはグラム陰性と思われる球桿菌様の菌体が混在し,線状や紡錘状の菌体は束状を成して配列していた。この部では,P.gingivalis,T.denticolaはほとんど認められなかった。 2.2-4mmの歯齦縁下プラークは,細菌は比較的鬆粗に分布しており,0-2mmのプラークに比べグラム陰性と思われる菌体の出現は高くなっていた。P.gingivalisはプラークの表層よりやや下層に,T.denticolaは表層部に散在していた。 3.4-6mmの歯齦縁下プラークでは,細菌は密に形成され,その表層はスピロヘータが存在し,その下層ではグラム陰性と思われる菌体で占められていた。T.denticolaは,これらプラーク表層を覆うように層状に存在していた。またP.gingivalisは,T.denticolaが局在する直下に集簇して存在していた。 4.6mm以上の歯齦縁下プラークでは,菌体が密に凝集して存在する細菌塊と鬆粗に分布する細菌塊とが混在していた。多数のグラム陰性と思われる菌体やスピロヘータによって占められ,多量の菌体間物質も認められた。P.gingivalis,T.denticolaは,これらプラーク全域にわたって多数検出され,P.gingivalisが検出された菌体周囲には多数のT.denticolaが集簇していた。
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