研究概要 |
近年、活性酸素ラジカルによる生体への酸素障害が大変注目されている。本研究では活性酸素ラジカルのなかでも特に毒性が高いヒドロキシラジカル(-OH)を各種歯科口腔疾患に関与する口腔内細菌に応用した。使用細菌は、ヒト歯牙感染根管内から分離・同定されたST reptoccus属菌で、-OH発生系は従来より当教室においてTBA法ならびにESR-スピントラッピング法によって-OHの発生が確認されているCuCl_2とH_2O_2の単独または混合系を用いた。一連の研究の結果、以下の成果が得られた。 1.CuCl_2,H_2O_2それぞれの溶液から-OHが発生するが、両者を混合すると-OH発生量は増大した。 2.CuCl_2,H_2O_2それぞれの溶液は、St reptococcus属菌に対する殺菌効果を有したが、両者を混合するとより強い殺菌効果が認められた。また、各種スカベンジャーの使用によって、殺菌効果は-OHによるものである。 3.-OHによる殺菌にはCuCl_2の存在が不可欠であった。 4.St reptococcus属菌の細胞膜脂質は-OHによって過酸化障害を受けていた。
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