歯周組織破壊過程における上皮の動態について免疫組織学的に研究を行った。まず、歯周組織破壊過程には実験的歯周炎モデル、すなわち細菌性プロテアーゼを1、2、3、4、5、6、7、14、21、28日まで連続的に塗布して作製した。免疫組織学的検索には、ラミニン(1次抗体:抗ラミニン血清)、TypeIVcollagen(1次抗体:抗IV型コラーゲン血清)、BrdU(1次抗体:抗BrdU MoAB抗、2次抗体:Peroxidase-conjungated anti-mouse IgG抗体)の分布状態について行った。その結果、ラミニンの分布状態については術後1日から35日まではほとんど変化は認められなかったが、7日から21日になると対照群に比較して接合上皮から内縁上皮にかけて、基底細胞局下の基底膜において減少傾向がみられるようになり、28日以後は著明に減少した。TypeIVコラーゲンは術後1日から14日にかけて変化はほとんど認められなかったが、21日から28日にかけて減少傾向が認められるようになった。また、基底細胞におけるBrdU陽性細胞の分布については、術後1日から7日までは対照群と比較して、増加傾向を示したが、14日から28日までは変化は認められなかった。以上の結果より、歯周組織破壊過程においては、初期の段階では上皮の基底細胞にその影響が認められるようであり、その後に基底膜などの基質部分に影響が認められるようになることが明らかとなりました。
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