歯周病患者を対象に、歯周ポケット内からペーパーポイントを用いて細菌を採取し、培養法による細菌の同定を行い、歯周ポケット内細菌叢を個々の症例について明らかにした。それに続くP.gingivalisのDNA採取は、Smithらの方法によって行い、純培養を5%緬羊脱繊維素血液寒天平板培地にて得、白金耳で菌株を集菌した後、TEbuffer中に入れる。次に、-20℃のフリーザ-に入れることにより、DNA採取用サンプルを多数の症例についてストックした。加えてISH法による薬剤感受性の検討を行うために、歯周外科処置時等に除去したポケット内縁上皮および歯牙を標本とし、P.gingivalisのDNAプローベにてハイブリッドすることにより、P.gingivalisをin situにて同定する検体を多数ストックした。また各種薬剤の感受性をin vivoで調べるため、ペーパーポイントにてサンプリングした検体自体でDNAブローベによるハイブリッドができるよう、各種プローベの特異度・鋭敏度を調べるため、現在P.gingivalisの外膜蛋白および線毛遺伝子(fim A)についてその有用性を調査中。多数の臨床分離株について、DNAシーケンスされたP.gingivalisの標準株とDNAプローベに対するハイブリッドに差異がないことまで確認した。薬剤としてはテトラサイクリン系抗生物質のテトラサイクリン、ミノサイクリン、歯科Local Drug Delivery System応用薬剤のペリオクリン、SDPについて感受性試験を行った。 以上の研究で歯周組織内への侵入が明らかとなっているP.gingivalisの局在を調べ得たことにより、薬剤の効果判定のみならず、歯周外科療法前後の、歯周病関連菌の局在の変化をP.gingivalisを用いたDNAプローベにより観察することが可能なので、特にGTR法におけるメンブレン上の細菌付着が、予後に与える影響を観察中。
|