研究概要 |
チタン鋳造床を電解研磨する目的で、鋳造床を模した加工チタン板及び鋳造体を試片とし、主に、電圧、陰極板形状を変化させ、非水系電解液を用いて実験を行った。電解研磨用試片として、純チタン板(JIS1種、99.8%、厚さ0.3mm)を切断して、45×30mmに幅5mm、長さ20mmの把持部を付与し、左右1/3を内側へ40^o屈曲し(屈曲した側を内面、反対側を外面と呼ぶ)、この試片の下縁から左右1/3に、試片長1/3程度の切れ込みを入れ、内方へ屈曲したものを用いた。また、鋳造体試片として、電解条件を明確にするため、床形状からレジン維持部を除いた鋳造体をサンドブラスト処理して実験に供した。電源は定電圧装置を用い、30,40,50Vの場合について検討した。陰極板形状は、円筒状(320×110×0.3mmの加工チタン板を使用)、円筒状に補助陰極を付与したもの(陰極板の一端に幅10mmの切れ込みを入れて、円筒状の陰極板から電解槽中央へ突出させ、陰極板から40mmの位置で下方へ、陰極板と平行になるように屈曲したもの)を、ガラスビーカー(500ml)内面全周にわたって沿わせて電解槽とし、それぞれの陰極板形状について検討した。また、通電時間は6分とした。 陰極板形状について、円筒状より今回実験で用いたような形状の補助陰極を付与したものの方が、鋳造床形状の試片の電解研磨に適していると考えられる。電圧については、30Vと比較的低い電圧でほぼ均一な研磨良好面が得られたが、40V、50Vと電圧が高くなるにつれ、研磨良好部分は少ないが、光沢は強くなった。今回は、通電時間は6分で一定であったが、電圧30Vでは通電時間を長く、これより電圧を高くするに従い、通電時間を6分より短くするなど更に実験を進めると、より短い時間で均一な研磨良好面が得られると考えられる。
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