研究概要 |
顎機能異常者で咬合再構成が必要な患者について,咬合治療前後における顆頭位と顆頭の運動軌跡の変化を考察することにより,咬合治療の目標とする下顎位を決定する方法を開発することを目標に研究を行い,以下の結果を得た. 1.従来は複数のX線断層写真から3次元的な下顎頭と関節結節の形態をワイヤーフレームモデルで表現していたが,それらの表面の形態を面を用いたソリッドモデルとして表現することが可能になり,顆頭運動にともなう関節空隙の変化の様相をより鮮明に画像化することが可能となった. 2.グラフィックターミナルに出力された3次元画像を処理する専用のカメラ(ニコン社製,F4)ならびに35mmフィルムスキャナ(ニコン社製,COOLSCAN)により画像処理能力が大幅に向上した. 3.顎機能異常者の咬合治療の術前,術後について顆頭位ならびに顆頭運動を比較し,治療後に顆頭運動が収束することを確認した. 今後は咬合治療の際に新たに与える顆頭位とその顆頭位から始まる顆頭運動の関連について検討し,如何なる顆頭位が顆頭運動を収束させ得るかを明らかにしたい.
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