研究概要 |
本研究では,顎関節の3次元的な形態に十分対応でき,多数点で同時に圧力を測定することのできる圧力センサーを試作することを目的とし,試作した圧力センサーの校正試験を行い,以下の結果を得た. 1)電極間距離と出力電圧について 電極間距離が1mm以下のときは感度が高くなることが明かとなった.また,電極間距離が1mmを越えると,出力電圧が不安定となり,感度も低下することから,出力電圧の安定性を考慮した場合,電極間距離は無荷重時で1mmとすることが適切であると考えられる. 2)ヒステリシスについて 電極間の介在物質として弾性材を用いているため,弾性材のもつクリープによってヒステリシスが生じる.この影響をできるだけ少なくするためには,生ゴムのような遅延変形の小さな弾性材を選択するのがよいと考えられる. 3)ゼロ点変動ついて 電極間にはさみこむ弾性材の残留変形によって計測基準となるゼロ点が変動することが考えられるため,測定プログラムによってゼロ点補正を行った.その結果,圧力-出力特性曲線は高い相関が認めら,繰り返し荷重においてもばらつきは少なく,プログラムによるゼロ点補正の有効性が認められた. 4)出力電圧の直線性について 本実験で用いた圧力センサーの受圧部の相関係数は0.983〜0.998であった. 以上のことから,この微少静電容量型圧力センサーは圧力分布を多点で定量的に,かつ,高精度で測定することが可能と判定した. 現在,頭蓋模型の顎関節部にこの圧力センサーを貼付したモデルを製作中である。
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