レジンおよびセメントへの抗菌剤の添加効果に関する実験を、本年度、行った。 in vitroでは、直径10mm、厚さ1mmの円盤状レジンを試料とし、重量%で5〜10%の抗菌剤(タンニンフッ化物、クロールヘキシジン、塩化ベンザルコニウム)の添加効果について、山田らの方法に準じて、う蝕、歯周疾患、および義歯性口内炎との関連が深い8種類の基準株を使用し、菌液滴下後、塗沫拡散した培地上に、レジン試料を静置し、24時間培養後、阻止帯の距離にて、その抗菌性を検討した。セメントに関しても、仮着用3種(ユ-ジノール系、カルボン酸系、ノ-ジノール系)、合着用4種(グラスアイオノマー系、カルボン酸系、リン酸亜鉛系、レジン系)にて、同様の実験を行った。 また、抗菌剤添加による物理的性質(圧縮、引張り強さ、ヌープ硬さ)、化学的性質(架橋の程度)の変化についても検討した。 in vivoでは、実際の口腔内環境での添加効果の検討を行った。 被験者の研究用模型より、上顎のスタビライゼイションスプリントを作製し、口蓋部に、in vitroで使用した抗菌剤添加のレジンを外側のみ即時重合レジンが接するようにして、埋入し、また、コントロールのレジンを対称に埋入して、24時間後、表面のプラークを染色して抗菌効果を検討した.また、同様の実験にて、プラーク中の細菌の同定も行った. セメントに関しては、抗菌剤添加後、物理的強度および化学的性状に問題がなく、抗菌性を示した抗菌剤と仮着剤の組み合せにて、実際に、被験者に暫間冠を仮着し、歯肉の炎症の程度にて、その効果を臨床的に検討した。
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