研究概要 |
圧電フィルムの歯科インプラント領域への新しい臨床応用を確立する目的で、インプラント体歯顎部の骨欠損に対して、圧電フィルムと従来からGTR法に使用されているGore-Tex^R膜とを使用し、骨欠損に誘導再生された骨量、骨質、その時間的な動態変化について病理組織学的に観察検討した。 実験材料及び方法 ビ-グル犬3頭を用い、下顎左右の第三、第四前臼歯を抜歯し一年経過した下顎骨に直径4mm,深さ8mmのインプラント窩形成後、チタンインプラント(ITI、Sタイプ)を埋入した。頬側歯頚部に4×3mmの骨欠損を形成し、実験A群はGTAM(Gore Tex augmentation material)で骨欠損部を被覆し、実験B群は圧電フィルムを欠損部に密着させ、フィルムの移動を防ぐ目的でその上をさらにGTAMで被覆した。対照群は窩洞形成のみとした。実験期間は術後、2、4、6周目とした。 結果と結論 圧電フィルムを使用した実験B群では対照群や実験A群に比べて最も早期に骨の再生が確認された。それは骨量、骨質の両方に認められた。圧電フィルムを使用した方法はインプラント周囲の骨欠損部でより確実に、かつ早期に骨の誘導再生を可能とすることが示唆された。したがって本圧電フィルムの利用は、臨床において骨量、骨質を改善し、骨内インプラントの適応範囲を広げ、早期に最終補綴を可能にする骨誘導再生法である。
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