我々は、約4年前より骨内インプラント(ITIボーンフィット^<【.encircledR.】>)を臨床に応用し、良好な経過を見ている。しかし、最も重要な条件と考えられるオッセオインテグレーションの獲得、維持に関して、問診や触診、打診、ポケット深度測定、X線診査等主観に依存した評価法が主に行われ、客観的な指標となる診査法に乏しい。本研究の目的は、歯の動揺度測定に用いられている動的歯周組織診断装置(ペリオテスト^<【.encircledR.】>)を応用し、インプラント術のフィクスチャー埋入から定期診査に至る各時期において測定を繰り返すことにより、オッセオインテグレーションの獲得、維持状態を客観的に評価することにある。欠損部の処置に関して、インプラント術と本測定を十分に理解した上で、希望する患者を被験者とした。術前に口腔内診査、オルソパントモならびにCT検査等により適応症の選択を行なった。動的歯周組織診断装置を用いて、フィクスチャー埋入術直後から定期的に動揺度測定を行ない、併せてデンタルX線撮影を実施した。上部構造体装着後はリコールし、可能な限り測定を継続した。 1.今回観察したフィクスチャーは、中空スクリューとスクリュータイプであった。 2.全てのフィクスチャーは、従来の診査法において問題は認められなかった。 3.動的歯周組織診断装置による診査結果は、術後早期から観察期間中にわたって-5〜+3と小さい値であった。 以上のことから、今回施行したインプラントはオッセオインテグレーションの獲得、維持に関して、満足する結果であったと推測された。症例数も少なく、また観察期間も短いが、本インプラントの中空スクリューとスクリュータイプは、フィクスチャー埋入術直後から良好な初期固定が得られ、有効な術式であると考えられるが、今後も本装置を応用し、維持状態を客観的に評価する必要があると思われる。
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