研究概要 |
窩洞内で発生するコンポジットレジンの収縮応力を軽減させる修復技法の開発を目的とし,コンポジットレジンの下層部に弾性率の低い低粘性レジンを形成する績層充填法が収縮応力におよぼす影響を検討した。低粘性レジンは,TEGDMAおよびBMPEPPの液部に,不定形シリカおよび超微粒子球状シリカの粉部を混合して試作した。重合様式は化学重合型とし,フィラーの含有率は,40wt%(40F)および60wt%(60F)の2種を試作した。収縮応力は,内径6mm,深さ4mmの黄銅製窩洞に練和したコンポジットレジンを充填後,窩底に対して垂直方向に発生する収縮応力を測定した。積層充填法は,低粘性レジンを厚さ2mmで充填した後,任意の時間に二層目レジンとしてコンポジットレジンを追加充填した。その結果,低粘性レジンのみの場合は,フィラーの充填率が増加すると収縮応力も増加した。これは,フイラーの充填率が増加すると重合収縮率が減少する一方で,弾性率の増加およびコンポジットレジン表面でのフローが減少したためと考えられる。60Fを一層目レジンとして使用した積層充填法では,60F充填直後に二層目レジンを充填すると,60F表面で生じるはずのフローが拘束されて逆に収縮応力が増加した。しかし,二層目レジンを充填するまでの時間が長くなると収縮応力は減少した。40Fは一層目レジンとして使用した積層充填法は,40Fの発生する収縮応力が少ないために二層目レジンを充填するまでの時間にかかわらず,収縮応力を軽減することができた。このことから,下層部に低粘性レジンを用いる修復技法は,収縮応力を軽減させるのに有効であると考えられる。
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