研究概要 |
YAGレーザの表面改質により,疲労に強い日本刀(表面は硬く,芯部が軟らかい)のような鋳造クラスプとなる金銀パラジウム合金の作製を目的とする。 1.10^3℃/sec程度の臨界冷却速度でアモルファス化するPd77.5%-Cu6.0-Si16.5合金にレーザー(パルス幅0.3ms,レーザエネルギ0.9J/P)を照射して、照射綿と裏面(as cast)のX線回析を行った結果を図1に示した。照射面はas castよりブロードであるが、アモルファス合金特有な幅広いブロードな曲線は得られなかった。また、このSiを多量に添加した合金は非常に硬くて脆く、クラスプとして使用するには不可能であった。 2.Cu-Pd-Ag系合金とCu-Pd-Ag-Zn系合金におけるレーザ照射面(パルス幅5ms,レーザエネルギ15J/P)とas castの硬さの差を、三角グラフ上に描いた(図2)。30%Cu-25Pd-45Agと22.5%Cu-31.5Pd-36.0Ag-10.0Zn合金はレーザを照射すると、最も硬化した。 3.三元系合金の物性を評価するのに、右辺,左辺,底辺を軸として対称にした四辺形を想定し、直交分解分散分析を行い回帰式を求めた。しかし、各回帰式で三角グラフを描くと、補間法と大きく異なった。そこで、この得られた三つの回帰式を加算し3で除した関数で三角グラフを描くと、補間法とほぼ一致した。三元系でこのような関数が求まれば、最適組成が明確になる。 次は、レーザ照射による表層の硬化が、引張強さや曲げに与える影響について実験を行う所存である。
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