研究概要 |
顎・顔面部の疼痛に関する診査法の一つとして,これまで臨床において触診が広く用いられてきた。しかし,手指による触診は術者の経験に依存するものであり,左右圧痛閾値の違いに対する評価は客観性に乏しく困難であると言われてきた。そこで,触診圧を絶対的に評価するため疼痛閾値計(アルゴメーター)の試作を行った。 アルゴメーターは先端に圧力を感知する圧力センサー(PS-5KB,共和電業)を有し,感知された圧力は2チャンネル歪みアンプ(AH-2,NEC San-ei)により増幅される。その後A/Dコンバータ-(A/D-4,Apple)にてコンピューターに入力し,記録,分析が行われるよう設計した。計測値は,専用のソフトウェアを開発することにより表示および解析を可能にした。 アルゴメーターによる触診時の圧痛閾値の計測により,触診の評価に影響を与えると言われている性別,健側と患側,触診される筋の種類等の患者サイドの因子を検討するとともに,加圧部位,加圧面積,加圧方向,加圧速度等の術者サイドの因子についても影響の有無を検討する予定であり,現在分析の途中である。 これにより術者側の条件が常に一定に保てるようトレーニングを行うことができるようになり,また圧痛診査の評価に与える術者サイドの影響をより少なくすることが可能となるため,触診の評価に客観性をもたせることができるようになる。
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