研究概要 |
試作コンポジットレジンのマトリクスはBisGMA:TEGDMA=60:40mol%で、無機質フィラー50wt%を配合した。重合開始剤としてカンファーキノン(CQ)と過酸化ベンゾイル(BPO)、還元剤としてジメチル-p-トルイジン(DMPT)、ヒドロキシエチル-p-トルイジン(HEPT)あるいはジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を選択し、これらの組合せによってデュアルキュアー型、化学重合型および光重合型レジンを試作し、重合特性を評価した。 いずれの還元剤においても、デュアルキュアー型の重合性は化学重合型や光重合型よりよかった。化学重合型ではDMAEMAあるいは還元剤なしでは重合しなかったが、対応するデュアルキュアー型では光重合型より反応率、重合率とも高かった。このことはBPOは脂肪族アミンあるいは還元剤なしでは分解しないが、光照射によってレジンの重合が開始されるとその局所的発熱でBPOが分解し重合性を高めたものと考えられる。したがって、光重合型では還元剤が脂肪族アミンであるならば、BPOの併用によって重合性が高まることが示唆された。芳香族と脂肪族アミンを併用した場合、デュアルキュアー型の重合性は芳香族アミン単独使用と同程度であった。各還元剤のレジンの臨界照射量(レジンを硬化させるのに必要最低限の照射量)はDMPTが最も小さく、DMAEMA,HEPTは同程度であり、光照射によってDMPTやHEPTの方がDMAEMAより先に消費され、重合性が高まらなかったものと考えられる。芳香族、脂肪族の両アミンを併用する場合には、芳香族アミンより臨界照射量の小さい脂肪族アミンを選択すべきものと考えられる。インレー体を介した場合、デュアルキュアー型の反応率はインレー体の厚さが厚くなるに従い低下したが、低下率は光重合型ほど大きくなかった。0.125〜4.0mol%の還元剤の濃度範囲では、厚さ5mmのインレー体を介してもデュアルキュアー型の反応率は化学重合型と同程度かそれ以上であった。
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