研究概要 |
ネンブタール軽麻酔ウイスター系ラットを用いて、自発呼吸の吸息時に同期した外舌筋(オトガイ舌骨筋、茎突舌筋、舌骨舌筋)活動及び呼吸筋(外肋間筋)活動に対するミダゾラム(0.4mg/kg)、フルマゼニル(0.5mg/kg)の作用について調べた。 舌のつき出しに関係する筋、オトガイ舌骨筋に対するミダゾラムの作用について調べたところ、ミダゾラム静脈内投与後約1分で外肋間筋に比べてオトガイ舌骨筋に強い抑制がみられた。この抑制は投与後約5分間続き、その後徐々に回復し回復には30分以上要した。また、外肋間筋とオトガイ舌骨筋の抑制の強さをパルスカウント(ある一定時間に発生するパルス頻度)とパルスハイト(筋電位パルスの振幅の分布)を用いて比較した。その結果、パルスカウント、パルスハイトともにオトガイ舌骨筋の方が外肋間筋に比べて強く抑制された。舌のひっ込めに関係する筋、茎突舌筋と舌骨舌筋についても同様に、パルスカウント、パルスハイトともに外肋間筋に比べて強く抑制された。以上の結果より、ミダゾラム投与によるこれら外舌筋活動の抑制が舌根沈下の一因になっていると考えられた。 また、ミダゾラム投与量をさらに増した時の変化について調べたところ,呼吸に同期した外舌筋活動の増強および持続的放電の増強がみられた。つまり、呼吸に同期した外舌筋活動の増強および持続的放電の増強がみられた。つまり、呼吸に同期したtonicな外舌筋活動はhypercapnia,hypoxia時には増大した。 ミダゾラム投与による外舌筋の抑制に対するフルマゼニルの拮抗作用についても検討した。その結果、ミダゾラム投与により抑制された外舌筋活動は、フルマゼニル静脈内投与によりすぐに回復した。よって、ミダゾラム投与により生じる舌根沈下に対してフルマゼニル投与は有効であることが示唆された。
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