研究概要 |
シェ-グレン症候群(SS)患者唾液腺局所でのの細胞接着分子の発現とそのリガンドであるVLA-4とLFA-1陽性細胞について検討し、以下の知見を得た。 シェ-グレン症候群患者の生検材料である唾液腺より一部凍結標本を作製して免疫染色を行ない、細胞接着分子の局在を検索したところ、SS唾液腺の浸潤細胞の大半はTリンパ球(CD4)であり、抗CD45 RA(naive T cell)陽性細胞と抗CD45 R0(memory T cell)陽性細胞の比較では抗CD45 RO陽性細胞が優位であり、活性化されているものと推察された。またVLA-4陽性細胞も同様に認められ、VCAM-1を介した腺組織への遊走が示唆された。 また一部の材料よりRNAを抽出してReverse transcriptaseによりcDNAを作製し、Polymerase chain reaction法にて細胞接着分子ならびに各サイトカインの発現を分子生物学的手法を用いて検出したところ、その浸潤細胞の程度とVCAM-1遺伝子の発現が相関して認められ、加えてIL-1β,TNFなどの発現も認めたことから、これらサイトカインにより血管内皮細胞上のVCAM-1遺伝子がup-regulateされたものと考えられた。またICAM-1の発現も同様に認めた。 以上のことからSS唾液腺局所においてVCAM-1を介したVLA-4陽性細胞の浸潤が示唆され、これらの細胞が腺組織の細胞外マトリックスと結合することにより活性化されるのではないかと考えられた。
|