1.製剤用高分子素材の選択、薬物放出制御機構法の検討 高分子が薬物の放出を制御する機構としては種々あるが、膜またはマトリックスとして薬物の放出制御の目的を達した後に、材料自体が生体内で分解してしまい、殻の回収を必要としないので、放出制御機構として理想的と考えられる高分子の溶解を薬物の溶解・放出の律速段階とする場合について検討を行った。具体的には、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の部分エステルといった徐溶解性高分子、あるいはポリ乳酸、ポリグリコール酸といったポリエステル、熱凝固または架橋アルブミン、架橋ゼラチンのような生体内分解性高分子について、その物理化学的性質を比較検討した。 2.組成およびin vitro放出(溶出)特性の検討 高分子の溶解・分解を利用する場合には、薬物を膜で包む場合と高分子マトリックス中に薬物を溶解または分散させる場合がある。また、薬物放出は薬物分子が小さいときには高分子内透過による放出と高分子の溶解・分解に伴う双方が、比較的分子量の大きい薬物のマトリックスからの放出は高分子の分解速度と対応すると予測されたため、薬物の分子量および濃度とともに高分子膜、高分子マトリックスの組成より放出制御の設計を行い、物理的性質、薬物放出特性、溶解速度の点について検討を行った。in vivo放出(溶出)特性および歯の移動量に与える効果については検討できなかった。
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