研究概要 |
生後3日齢のマウス頭蓋冠から得た骨芽細胞を多く含んだ細胞(OB-cells)と生後7週齢のマウス骨髄細胞を,1,25-(OH)_2vitamin D_3(1,25D_3),parathyroid hormone(PTH),あるいはinterleukin-1β(IL-1β)を添加した条件で混合培養し,培養8日目に形成された歯骨細胞様多角細胞(OC-like cell)の数を計測した.機能的外力としては,600g/cm^2の静水圧を作用させた. 骨髄細胞単独を10^<-9>Mの1,25D_3存在下で600g/cm^2,96hrの静水圧を作用させると,OC-like cellの形成が促進されたが,骨髄細胞と5000cells/wellのOB-cellsを1,25D_3存在下で混合培養し、さらに圧力刺激を加えると,OC-like cellSの形成は有意に抑制された. 骨髄細胞単独培養形に10ng/mlのLI-1βを添加すると,30個/wellのOC-like cellが形成されるが,OB-cellを混合培養するとその形成数は相乗的に促進され,90個/wellとなった.この培養形に600g/cm^2,96hrの静水圧を作用させると,OC-like cellの形成数は30個/wellまで抑制された. 10-^<10>MのPTHを骨髄細胞あるいは骨髄細胞およびOB-cellの混合培養形に添加すると,数十個のOC-like cellが形成されるが,600g/cm^2,96hrの静水圧を作用させると,OC-cellの形成はほぼ完全に抑制された. 以上より,骨芽細胞存在下では骨髄細胞から破骨細胞を形成する液性因子の作用を静水圧が抑制することが明らかとなった.これらの結果は平成7年度の日本矯正歯科学会で発表予定である.今後,さらにいろいろな条件の大きさや作用時間の静水圧を作用させ,骨髄細胞および骨芽細胞の混合培養系における破骨細胞形成促進因子にたいする応答性,また,2つ以上の因子を組み合わせた場合の応答性について検討する予定である.
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