研究概要 |
要旨:小児歯科臨床での断髄処置において,乳歯および幼若永久歯とも可及的に歯根部歯髄を生活状態で保存するため,水酸化カルシウムを用いた生活断髄法が従来より広く用いられてきている。しかしながら,実際の小児歯科臨床の場においては水酸化カルシウムを使用する度に,滅菌した器具を用いての滅菌水との混和が必要であるなど,治療能率の点で問題がある。そこで我々は,水酸化カルシウムを基に,臨床で即時使用できる一剤型水酸化カルシウム製剤を試作した。今回は,それを用いた生活断髄後の庇蓋硬組織形成の有無を,動物実験により組織学的に確認した。 その結果,断髄処置1ヵ月後に象牙前質と細管構造を有する象牙質から成る庇蓋硬組織の形成を認めた。また,残存する歯髄組織においては炎症などの異常所見は見られなかった。以上により本剤を生活断髄剤として臨床に用いることが可能であることが示唆された。
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