主な対象者は、鹿児島市内保育園児とし、側貌頭部X線規格写真、研究模型、咬筋ならびに側頭筋について旭爪方法により節電図を採取した。側貌頭部X線規格写真は、飯塚の方法、研究模型は、小野、大坪らの方法、節電図は旭爪の方法に準じ計測し、旭爪ならびに岩崎(未発表)の正常者の値と比較検討した。また、口腔内診査および習癖に対する意識に関する調査を数地域においてアンケート調査を行った。資料は、Dental ageのIIAで一部IICであった。これらのうち、臨床的咬合形態は正常咬合、上顎前突、開咬の認められたものがあった。研究模型の計測値の結果では、歯列幅径の狭窄、前列長径の伸長の認められたものがあった。側貌頭部X線規格写真においても指しゃぶりによる影響と思われる測定結果が認められた。これまで、指しゃぶりの咬合形態に対する影響としては、開咬、下顎遠心位、前顎部の突出、上顎前歯の唇側傾斜と同部の空隙、上顎歯列弓の狭窄、口蓋の変形(高口蓋)、臼歯部の交叉咬合、下顎前歯の叢生などが挙げられており、それらを裏付ける結果と思われる。また、筋電図所見の積分値による相対比においては、特に顕著な結果は認められなかった。この点だけから判断できることは、指しゃぶりは形態に対して比較的早期より影響及ぼすものの、機能に対してはあまり早期より影響は少ないものといえる。今後、得られた資料をさらに細かく分析考察していきたい。
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