成人性菌周疾患関連細菌として注目されているPorphyromonas gingivalis(以下Pg)の家族内伝播を調べる一助として4組の夫婦間から分離されたPgのDNAの電気泳動パターンを、巨大DNAを画分処理することのできるパルスフィールド電気泳動法により検索したところ以下のような結果を得た。 1)制限酵素未処理DNA泳動パターン:DNA抽出法の検定およびNativeなDNAの状況を調べるために制限酵素未処理のDNA泳動パターンについてまず検索を行なった。その結果、調べた8菌株間に特異な差を認めることはできなかった。 2)8塩基認識制限酵素切断DNA泳動パターン:8塩基認識制限酵素として知られるNotIおよびSfiIによりPgDNAを切断し、パルスフィールド電気泳動によりそのパターンを検索した。その結果、NotI処理を行なったものにおいて2組の夫婦の泳動パターンがほぼ同一であったが、その他2組の夫婦間においては必ずしも同一ではなかった。またSfiI処理群においては明瞭なバンドが認められなかった。またよく用いられる基準株であるPg381株との比較したところ各夫婦から分離されたPgのDNA泳動パターンは異なっていた。以上の結果より、本パルスフィールド電気泳動法を用いた検索において夫婦間でのPgの伝播が示唆された。よって各分離菌株に特異的なDNA断片を調製し、各々のDNAとサザンハイブリダイゼーションを行ない、より特異性の高い検索法を構築する必要がある。
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