研究概要 |
歯学部学生教育においては、各科がそれぞれ個別に細分化された(縦割りの)講義をおこなっているのが現状である。そのため、学生は、基礎歯学系における学習事項を臨床で応用したり、各科間の連係を把握しにくい場合が多い。また、臨床実習を除いて、学習成績の確認には筆記試験を採用さぜるを得ないために、学習内容は教科書などの文字情報が主体となっている。そこで、本研究では、各学科間における学習事項のつながりを理解しやすくするとともに、三次元画像、音声、動画などの多様な情報媒体(マルチメディア)を用いて、学習者が単独でより深い興味を持ちながら進めていくことのできる対話型(インタラクテイブ)ソフトウエアプログラムを開発、学生および卒後研修医の教育に応用した。開発環境には、初心者が比較的操作しやすいApple社製Macintoshコンピュータを用いた。プログラム母体には市販のオーサリングソフトウエアを用いた。全て対話型のレスポンスで進行し、学習者の意志に任せた内容(骨,筋,TMJ,成長,矯正学)の表示を可能にするために並列化したアルゴリズムを設定した。情報媒体は、実際の培検写真,3DCT画像,顎運動アニメーション,歯牙移動の三次元シミュレーションなど既存の教材にはないVisualなものとした。本システムにより学習意欲の顕著な増化が認められたとともに、学生教育の省力化ならびに効率化が計られた。将来的には、治療のシミュレーション表示や治療技術の判定、自動診断システムの構築に進化させ得るものと考えられる。
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