研究概要 |
無作為抽出された矯正治療の既往がない日本大学松戸歯学部学生96人(平均年齢24才7カ月,男性73人,女性23人)を対象に,口腔筋機能と歯列形態について,口腔模型,セファログラム,口腔周囲筋の動きを撮影したビデオ映像および問診表により調査した。 安静時,口唇を閉じている者は81人,閉じている時間と開いている時間がほぼ半々である者は14人,開けている者は1人であった。 安静時の舌尖の接触位置について,口蓋歯肉が20人,上顎前歯舌側面が26人,上下顎前歯間が3人,上下顎前歯両方の舌側面が14人,下顎前歯の舌側面が25人,下顎歯槽部舌側歯肉が5人,といこにも接しない者が3人であった。また安静時の舌中央部の位置について,口蓋に接している者が37人,接していない者が59人であった。安静時,上下臼歯を咬合させていないものは85人,咬合しているものは11人であった。 嚥下時の観察では上下臼歯を接触させて嚥下する者が80人,舌を上下歯列間に入れて嚥下するものが8人,上下臼歯を接触させないで嚥下するものが8人であった。 口蓋の幅径,リップメーターによる口唇力の測定値,顎関節雑音,顔面筋の痛みに関し,上記要因との関連性を検索したところ,口蓋の幅径と口唇力に関し男女差が認められ,安静時の臼歯接触状態と顔面筋の痛みとの間に関係が認められたが,口腔筋機能と口蓋の幅径に関しては明確な関係が認められなかった。 今後の研究の展開としては,機能の分析として咀嚼の巧拙,発音等に関しては掘り下げていき,また形態的要因として,切歯の傾斜角度や歯列の長幅比等も含めて調査する計画である。
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