研究概要 |
ザラゴジン酸のコア構造に存在する連続した第四級不斉炭素の構築にα-ケトエステルとD-酒石酸誘導体の立体選択的アルドール反応を適用することにした。本反応の成否が、全合成達成の鍵を握るものと考え、モデル化合物を用いてその可能性を検証することにした。その結果、D-酒石酸誘導体の金属エノラートとモデル化合物との縮合反応は、カルボニルα位の脱プロトン化により進行しないことが判明した。そこで、ルイス酸触媒によるシリルケテンアセタールとのアルドール反応を検討した。その結果、0,0-シリルケテンアセタールではα-ケトエステルへの付加が全く進行しせず、スズ(II)トリフルオロメタンスルホナ-トを促進剤としOS-シリルケテンアセタール3を用いたときのみアルドール付加体を91%で得ることができた。しかし、C5位の立体化学が逆配意のジアステルオマ-が主成績体(6:1)であった。そこで、選択性の向上を目指し反応基質を種々検討した結果、ペンチリデン保護したα-ケトη-ブチルエステル2を用いることにより、望みの立体化学を有するジアステルオマ-の生成比を向上させることができた(1:1)。また、この化合物は数工程を経て、ザラゴジン酸のコア構造である2,8-ジオキサビシクロ[4.2.1]オクタン環を有する化合物4へ誘導することができた。現在、ザラゴジン酸C(1)のアルキル鎖を有する基質を用いて、その全合成を進めている。
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