研究課題/領域番号 |
06772058
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 美洋 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (90226019)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ニッケラサイクル / トランスメタル化 / ニッケル / 酸無水物 / 脱カルボニル化 / 遷移金属錯体 / スズ |
研究概要 |
HMG-Co-Aリダクターゼ阻害作用を有する化合物は、3-ヒドロキシグルタル酸骨格を有しており、その不斉合成法の確立が合成上重要である。申請者らの計画した不斉合成法は、Ni錯体への酸無水物の酸化的付加-トランスメタル化を経由する方法論であるが、最初のステップの酸化的付加が文献上知られているのみである。そこで先ず、無水テトラヒドロフタル酸1を基質とした検討を行なった。基質に対し、120mol%のNi(cod)_2、120mol%のdppeを用い、スタニルアセチレン3とTHF中還流条件下反応させたところ、4が低収率ながら8%得られた。興味深いことに、得られた生成物は当初予想したcis-4ではなく、trans-4であったことからニッケラサイクルcis-2とtrans-2間での平衡の存在が示唆された。すなわち、基質1が酸化的付加した後、脱カルボニル化反応を経て1の立体化学を反映したcis-2が生成すると考えられるが、cis-2からβ-脱離、生じたオレフィンの再挿入反応を経てtrans-2へと異性化し、trans-4が生成したと考えられた。同様の条件下、配位子の検討を行ったところPh_2PMeを用いるとcis-4が10%、dppfを配位子として用いた反応においてはtrans-4が10%、cis-4が17%と、トランスメタル化成績体が併せて27%得られ、cis-2とtrans-2間の平衡が配位子の影響を強く受けることが明らかとなった。更に、ニッケラサイクル中間体においてβ-脱離を起こし得ない無水フタル酸5を基質として用い同様の条件下反応を行ったところ、トランスメタル化生成物8、9、10が併せて59%の収率で得られた。本結果は、酸化的付加-脱カルボニル化反応を経由し生成したニッケラサイクルに対するトランスメタル化が進行した初めての例であり、現在本反応の触媒反応化及び不斉合成への展開を検討中である。
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