研究概要 |
3環性キラルモノアセテート(1)のパラジウム触媒下のエノン体(2)への変換反応について検討し,以下の点を明確にした. 1.反応には水酸基の存在が必須であること 2.その水酸基はエンド配置でなければならないこと 3.反応下に1位のエキソ水素原子がきれいに4位エキソ側に転位すること 4.ジオール基質の場合にも反応が起こり2級水酸基側から3級水酸基側に転位すること 5.6員環オレフィン上の置換基にかかわりなく反応が起こること 6.ジアセテートでは転位が起こらないこと 7.単環基質,ビシクロ[2.2.2]オクタン基質でも転位が起こること 8.鎖状基質でも同様の転位反応が起こること さらにメソ型対称性ジオール基質がキラルリガンド存在下に20%ee程度の不斉誘起を起こすことを見出したことから,不斉異性化反応について徹底的に検討しカチオン性ロジウム触媒-BINAPの組合せによって定量的収率で97%eeに達する手法を確立した.
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