研究概要 |
1994年9月、与那国島において海綿やホヤなど10数種の海産無脊椎動物を採集した。このサンプルからEtOAcおよびMeOH分画を調整し、細胞毒性等のアッセイに提供した。顕著な活性のみられたエキスを分離をして以下の細胞毒性成分を得た。 未同定の被覆状群体ホヤのEtOAc分画が細胞毒性(IC_<50>0.25-1μg/mL)を示したので分離したところ、先に伏谷らが海綿から見いだしているCurcudiolの他に一つ新規関連物質を見いだした。機器分析の結果、この化合物はCurcuphenolの一部が酸化されたものと判明した。分類の全く異なる生物かに同じ化合物群が得られることは、その起源が微生物由来であることを示唆しているかもしれない。 別の被覆状群体ホヤも強い細胞毒性(IC_<50>0.02-0.2μg/mL)を示した。HPLC等で精製したところ、先に小林らが沖縄産のホヤから報告しているAscididemninと一致した。 先に、我々はNiphatidae科の海綿から既知ポリアセチレン化合物PetrosynoneとPetrosynolのほかに6つの関連化合物を見いだし報告してきた。今回、さらにこの海綿の成分を検索することにより、3つの新規関連ポリアセチレン化合物を単離し、NMRなどにより構造を決定した。この一連の化合物を同時に細胞毒性テストに提供したが、顕著な構造活性相関についての示唆は得られなかった。 一方、棒状の海綿の成分(細胞毒性IC_<50>0.25μg/mL)を検索したところ、既知の細胞毒性成分であるScalaradial,DesacetylscalaradialおよびScalarinの他に2つの関連する新規セスタテルペンを見いだした。
|