研究概要 |
(24R)-24,25-ジヒドロキシビタミンD_3[24,25(OH)_2D_3]は,従来,不活性なビタミンD_3代謝物とされてきた.しかし最近,骨形成作用を有する可能性が示唆され,新しい骨疾患治療薬として期待されている.このため,簡便で迅速な体液中24,25(OH)_2D_3定量法の確立が切望されているが,現在,満足のいく方法はみられない.そこで,24,25(OH)_2D_3酵素イムノアッセイ(EIA)の開発を目的として新規ハプテンを合成し,抗24,25(OH)_2D_3特異抗体の調整を試みた.【実験・結果】まず,ハプテン3-HG[24,25(OH)_2D_33-hemiglutarate]及び11a-HG[11a-hemiglutaryloxy-24,25(OH)_2D_3]を,それぞれデヒドロエピアンドロステロン及びその11a-水酸化体を出発物質に用い,各々19工程,22工程で合成した.ついで,11a-HGのウシ血清アルブミン結合体を調整してウサギ3羽を免疫し,得られたポリクローナル抗24,25(OH)_2D_3抗体(Ab-11)3種の諸性質をRIAにより検討した.これらはいずれも優れた力価(至適希釈率1:25000-1:330000)と親和力(Ka=0.2-1.0×10^<10>M^1)を示し,極めて高感度な検量線を与えた.また,側鎖構造の識別能にやや欠けるものの,24,25(OH)_2D_3のA環部分を良好に認識することが判明した.【考察】ハプテン3-HGを用いて免疫するとき,側鎖の認識に優れ,Ab-11のそれと相補的な特異性の抗体(Ab-3)が得られるものと期待される.したがって,Ab-3またはAb-11のいずれか一方を用いてイムノアフィニティークロマトグラフィー(IAC)を行い,試料から妨害代謝物を除去したのち,もう一方の抗体によるEIAに付すことで,信頼性の高い測定値が得られるものと期待される. 現在,本IAC/EIAシステムの開発を検討中である.
|